「ホームページはあるけれど、新しい患者さんが増えているのか分からない」
「症例の写真や患者さんの声を載せたいけれど、載せていいのかが分からない」
歯科医院を運営している方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
先に結論をお伝えします。
歯科医院のホームページは、初めての患者さんが「ここなら通えそうだ」と確かめるための場所です。
加えて、歯科医院のホームページは、医療広告のルールの対象になります。
そのため、載せたい情報を揃えることと、載せられない表現を避けることの両方が必要です。
この記事では、歯科医院のホームページに載せたい情報と、医療広告のルールで気をつける点、予約の受け方、口コミとの付き合い方を整理しました。
医療広告のルールは、厚生労働省の「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正)をもとに書いています。
この記事で分かること
- 歯科医院のホームページの役割
- ホームページに載せたい7つの情報
- 医療広告のルールで気をつける表現
- 予約と口コミの扱い方
- よくある失敗
歯科医院のホームページは、通えるかどうかを確かめる場所
まずは、歯科医院にとってホームページがどんな役割を持つのかを整理しておきましょう。
患者さんが何を確かめに来ているのかが分かると、載せる情報の優先順位が決まります。
近くの歯科医院を探して、ホームページで確かめる
歯科医院は、自宅や職場の近くで探されることが多い業種です。
「地域名+歯医者」のように検索したり、Googleマップで近くの医院を見比べたりして、候補を絞っていきます。
そのうえで、気になった医院のホームページを開いて、自分が通えるかどうかを確かめます。
そのため、ホームページは見つけてもらう場所というより、候補に残してもらう場所だと考えておきましょう。
患者さんが確かめているのは、通いやすさと安心感
初めての患者さんが見ているのは、治療の説明だけではありません。
診療時間が自分の生活に合うか、予約は取りやすいか、どんな先生が診てくれるのかを確かめています。
歯科医院が苦手な人や、子どもを連れて行きたい人にとっては、院内の雰囲気も気になるところです。
例えば、待合室や診療室の写真、初めて来院したときの流れが分かると、不安がやわらぎます。
歯科医院のホームページは、広告のルールの対象になる
歯科医院のホームページは、飲食店や美容室と同じ感覚では作れません。
医療機関のウェブサイトは、医療法にもとづく広告の規制の対象になっているためです。
例えば、患者さんの体験談や、説明のない治療前後の写真は、載せられない表現にあたります。
詳しくは、後半の「歯科医院のホームページと医療広告のルール」でお伝えします。
歯科医院のホームページに必要な7つの情報
続いて、歯科医院のホームページに載せておきたい情報をお伝えします。
下記の7つが揃っていると、初めての患者さんは予約の前に知りたいことをひととおり確かめられます。
1. 診療時間・休診日と、予約の方法
最初に確かめられるのは、診療時間と休診日です。
曜日ごとの診療時間を表にまとめ、午前と午後の最終受付の時間も書いておきましょう。
臨時の休診や、年末年始、学会などで変わる日は、分かった時点でお知らせに載せます。
あわせて、予約制かどうかと、電話やWeb予約など予約の方法も書いておいてください。
2. 場所と、通いやすさ
住所だけでなく、最寄り駅からの道順や、建物の目印を書いておきます。
駐車場や駐輪場がある場合は、台数と場所も載せておきましょう。
ベビーカーや車いすのまま入れるか、キッズスペースがあるかも、通える人を左右する情報です。
入口や院内の写真を添えておくと、初めての人も迷わずに来られます。
3. 診療の内容
どんな診療を受けられるのかを、患者さんの言葉で分かるように書いておきます。
むし歯や歯周病の治療、子どもの歯科、矯正、親知らずの抜歯など、対応している内容を並べておきましょう。
保険が使える診療と、保険が使えない自由診療は、分けて書いておくのがおすすめです。
区別がはっきりしていると、患者さんは費用の見当をつけやすくなります。
4. 院長・歯科医師・スタッフの紹介
誰が診てくれるのかが分かることは、歯科医院を選ぶときの大きな判断材料になります。
院長や歯科医師の顔写真と経歴、診療で心がけていることを載せておきましょう。
歯科衛生士や受付のスタッフも紹介しておくと、医院の雰囲気が伝わります。
なお、専門医などの資格を載せるときは表記の決まりがあるので、ガイドラインを確かめてから書いてください。
5. 院内の設備と、衛生管理への取り組み
診療室や待合室の写真は、通院への不安をやわらげる材料になります。
個室の診療室や、子ども向けのスペースがある場合は、写真で見せておきましょう。
器具の滅菌など、衛生管理について取り組んでいることも書いておきます。
言葉で説明するだけでなく、実際の設備の写真を添えると、より伝わりやすくなります。
6. 初めての方への案内
初めて来院する人は、当日に何をするのかが分からず、不安に感じています。
受付から問診、検査、説明、治療までの流れを、順に書いておきましょう。
持ち物や、初回にかかる時間の目安も添えておきます。
問診票を事前にダウンロードできるようにしておくと、当日の待ち時間を減らせます。
7. 自由診療の内容・費用・リスク
矯正やインプラント、ホワイトニングなどの自由診療を載せる場合は、費用だけを書くのでは足りません。
治療の内容、標準的な費用、治療の期間と回数、主なリスクや副作用をあわせて載せる必要があります。
これは、医療広告のルールで定められている条件でもあります。
次の章で、もう少し詳しく見ていきましょう。
歯科医院のホームページと医療広告のルール
ここからは、歯科医院のホームページを作るときに避けて通れない、医療広告のルールをお伝えします。
厚生労働省のガイドラインのうち、ホームページに関わりの深い点に絞って整理しました。
ホームページも、広告の規制の対象になっている
以前は、医療機関のウェブサイトは、原則として広告の規制の対象外とされていました。
けれども、医療法の改正により、現在はチラシや看板と同じように規制の対象になっています。
内容が虚偽であったり、誇大であったりする表示は禁止されていて、是正の命令や罰則の対象になります。
そのため、ほかの業種のホームページで見かける表現を、そのまま使わないように注意しましょう。
ガイドラインで禁止されている表現
ガイドラインで禁止されているのは、下記の5つのような表現です。
- 内容が事実と異なる表現
- ほかの医院と比べて優れているとする表現
- 事実を不当に誇張した表現
- 患者さんの主観にもとづく、治療の内容や効果についての体験談
- 治療の内容や効果を誤認させるおそれのある、治療の前後の写真
例えば「日本一」「No.1」「最高」のような最上級の言葉は、ほかの医院と比べて優れているとする表現にあたります。
「絶対安全な手術です」のような言い切りも、医学上ありえないものとして、虚偽の広告として扱われます。
費用を強調した表現にも注意が必要です。
「期間限定で50%オフ」のようなキャンペーンの告知は、品位を損ねる広告の例として挙げられています。
患者さんの声と、治療前後の写真の扱い
医院が自分のホームページに載せる、治療の内容や効果についての体験談は、広告として認められていません。
患者さんの状態によって感想は変わるため、読んだ人に誤解を与えるおそれがあるとされています。
治療の前後の写真も、写真だけを載せることはできません。
通常必要とされる治療の内容や費用、主なリスクや副作用などの詳しい説明を付けた場合は、禁止の対象にあたらないとされています。
その説明は、患者さんにとって分かりやすい場所に書く必要があります。
リンク先のページに書いたり、極端に小さな文字で書いたりする形は認められていません。

載せられる内容を広げるための4つの条件
ホームページのように、患者さんが自分から探して見に来る媒体では、条件を満たすと載せられる内容の範囲が広がります。
ガイドラインでは「広告可能事項の限定解除」と呼ばれていて、条件は下記の4つです。
- 患者さんが自分から求めて見る情報を載せた、ウェブサイトなどであること
- 内容について問い合わせができるよう、電話番号やメールアドレスなどの問い合わせ先を載せること
- 自由診療について、通常必要とされる治療の内容や費用などを載せること
- 自由診療について、主なリスクや副作用などを載せること
3つ目と4つ目は、自由診療の情報を載せる場合の条件です。
3つ目では、標準的な費用に加えて、治療の期間と回数も載せることとされています。
標準的な費用がはっきり決まらない場合は、最低の金額から最高の金額までの範囲を示します。
発生することの多い追加の費用も含めて、できるだけ分かりやすく書くこととされている点にも注意しましょう。
なお、検索結果に出る広告やバナー広告は、1つ目の条件を満たさないとされています。
広告を出すときは、ホームページとは別のルールで考える必要があります。
迷ったときは、原文と窓口で確かめる
ここまでの内容は、ガイドラインの一部を要約したものです。
実際に文章を書くときは、厚生労働省が公開しているガイドラインと事例の解説を確かめてください。
ガイドラインは、医療法における病院等の広告規制についてのページから見られます。
判断に迷う表現があるときは、都道府県や保健所の、医療広告を担当する窓口に相談するのが確実です。
予約の受け方
次に、ホームページを見た患者さんが予約まで進みやすくなる受け方をお伝えします。
予約の方法が分かりにくいと、通えそうだと思った人も別の医院に移ってしまいます。
電話とWeb予約を、どのページからでも分かるようにする
予約の入口は、どのページを見ていても分かる場所に置いておきます。
スマートフォンでは、電話番号を押すだけでかけられるようにしておきましょう。
Web予約を導入している場合は、初診の人も使えるのかを書いておきます。
例えば「初めての方もWebから予約できます」と一言あるだけで、予約しやすくなります。
急な痛みへの対応を書いておく
歯の痛みや、詰め物が取れたときなど、急いで診てもらいたい人もいます。
当日の受診ができるのか、まず電話をしたほうがいいのかを書いておきましょう。
急な患者さんを受けられる時間が決まっている場合は、その時間も添えておきます。
対応できない場合も、その旨を書いておくと、患者さんは次の行動を決めやすくなります。

予約の変更とキャンセルの方法を書く
予約を変えたいときに、どこへ連絡すればいいのかが分からないと、無断のキャンセルにつながります。
変更やキャンセルの連絡先と、いつまでに連絡してほしいのかを書いておきましょう。
Web予約から変更できる場合は、その手順も案内しておきます。
連絡のしやすさは、通い続けてもらうための条件にもなります。
Googleマップと口コミとの付き合い方
ここでは、歯科医院を探す入口になるGoogleマップと、口コミの扱い方をお伝えします。
口コミは、ほかの業種と同じ感覚で扱うと、医療広告のルールに触れるおそれがあります。
Googleマップの情報を、ホームページとそろえる
Googleマップに出る診療時間や電話番号は、Googleビジネスプロフィールに登録した内容です。
ホームページと内容が違っていると、患者さんはどちらを信じていいのか分からなくなります。
臨時の休診や診療時間の変更は、ホームページとGoogleビジネスプロフィールの両方に反映させましょう。
設定の基本はMEO対策とはにまとめています。
口コミを、医院のホームページに転載しない
Googleマップの口コミは、患者さんが自分の意思で書いたものであれば、広告にはあたりません。
けれども、その口コミを医院が選んでホームページに載せると、扱いが変わります。
厚生労働省のQ&Aでは、医院にとって都合のよい感想を選んで載せ、強調することは、虚偽や誇大にあたるとされています。
そのため、良い口コミを見つけても、ホームページには転載しないようにしましょう。
口コミの投稿を、医院から頼まない
飲食店や美容室では、来店したお客様に口コミをお願いすることがあります。
歯科医院で同じことをすると、広告とみなされるおそれがあるので注意が必要です。
厚生労働省のQ&Aでは、医院が患者さんに、有償か無償かを問わず、肯定的な体験談の投稿を依頼した場合は、広告の規制の対象になるとされています。
治療の内容や効果についての口コミを、医院から頼むのは避けましょう。

口コミへの返信では、治療の内容に触れない
口コミに返信するときは、その人が来院したことや、受けた治療の内容に触れないように注意します。
返信は誰でも読めるため、患者さんの情報を明かしてしまうことになるためです。
お礼や、ご意見を受け止めたことを、短く伝えるだけにとどめましょう。
返信の書き方は口コミへの対応にまとめていますので、あわせてご覧ください。
ただし、一般の店舗向けに書いた記事なので、口コミの集め方の章は、歯科医院にはそのまま当てはまりません。
歯科医院のホームページでよくある失敗
続いて、歯科医院のホームページでよくある失敗をまとめます。
ルールに関わるものも含まれるので、今のホームページを開きながら確認してみてください。
診療時間が画像だけで載っている
診療時間の表を、画像として貼り付けているケースです。
スマートフォンでは文字が小さくなり、拡大しないと読めなくなってしまいます。
診療時間は、文字として読める表で載せておきましょう。
臨時の休診が反映されていない
休診の日にホームページを見て来院した患者さんが、閉まっていることに気づくケースです。
一度こうしたことがあると、次に通う医院の候補から外されてしまいます。
臨時の休診は、分かった時点でお知らせとGoogleビジネスプロフィールの両方に載せてください。
患者さんの声を載せている
治療を受けた患者さんの感想を、ホームページに並べているケースです。
治療の内容や効果についての体験談は、医療広告として認められていません。
載せている場合は、ガイドラインを確かめたうえで見直しましょう。
自由診療の費用だけが書いてある
インプラントや矯正の費用は書いてあるのに、治療の期間やリスクが書いていないケースです。
自由診療を載せるには、治療の内容や費用に加えて、主なリスクや副作用も載せる必要があります。
費用の近くに、読みやすい大きさの文字で書いておいてください。

「最高」「No.1」といった言葉を使っている
医院の強みを伝えようとして、最上級の言葉を使っているケースです。
最上級の言葉は、事実であっても使えないとされています。
設備や診療の内容は、比べる言葉を使わずに、事実として書いておきましょう。
初めての人向けの案内がない
診療の内容は詳しいのに、初めて来院するときの流れが書いていないケースです。
歯科医院が苦手な人ほど、当日に何をするのかが分からないと予約をためらいます。
初診の流れと、かかる時間の目安を載せておきましょう。
よくある質問
ここでは、歯科医院のホームページについてよくいただく質問にお答えします。
医療広告のルールに関わる質問は、ガイドラインの内容をもとにまとめました。
Q. 患者さんの声は、ホームページに載せられませんか。
治療の内容や効果についての体験談は、載せられません。
医院が自分のホームページに載せる体験談は、広告にあたるとされています。
患者さんに選んでもらうための材料は、診療の流れや設備、スタッフの紹介など、事実として書ける情報で揃えましょう。
Q. 症例の写真は、載せてもいいですか。
写真だけを載せることはできません。
治療の内容や費用、主なリスクや副作用などの詳しい説明を、患者さんにとって分かりやすい場所に付ける必要があります。
先にお伝えした4つの条件を満たしていることも前提になるので、ガイドラインを確かめてから載せてください。
Q. Googleマップの口コミを、患者さんにお願いしてもいいですか。
治療の内容や効果についての口コミを、医院から頼むのは避けましょう。
厚生労働省のQ&Aでは、医院が肯定的な体験談の投稿を依頼した場合は、広告の規制の対象になるとされています。
患者さんが自分の意思で書いてくれた口コミに、丁寧に返信していく形がおすすめです。
Q. 自由診療の費用は、どう書けばいいですか。
標準的な費用と、治療の期間や回数をあわせて書きましょう。
費用がはっきり決まらない場合は、最低の金額から最高の金額までの範囲を示します。
発生することの多い追加の費用も含めて書いておくと、患者さんは総額の見当をつけられます。
Q. キャンペーンや割引は、ホームページで告知できますか。
費用を強調した告知は、避けるのが安全です。
ガイドラインでは、期間限定の割引のような告知が、品位を損ねる広告の例として挙げられています。
費用は、強調する言葉を使わずに、標準的な金額として載せておきましょう。
Q. 内容がルールに合っているかは、どこで確かめられますか。
厚生労働省のガイドラインと、事例の解説で確かめられます。
判断に迷うときは、都道府県や保健所の、医療広告を担当する窓口に相談しましょう。
ホームページを作り直すときは、制作会社にもガイドラインに沿って作るよう伝えておくと安心です。
まとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
歯科医院のホームページは、初めての患者さんが「ここなら通えそうだ」と確かめるための場所です。
近くの医院を探して候補を絞った人が、診療時間や先生の顔、院内の様子を見に来ています。
そのため、まずは下記の7つを揃えることから始めましょう。
- 診療時間・休診日と、予約の方法
- 場所と、通いやすさ
- 診療の内容
- 院長・歯科医師・スタッフの紹介
- 院内の設備と、衛生管理への取り組み
- 初めての方への案内
- 自由診療の内容・費用・リスク
あわせて、歯科医院のホームページは医療広告のルールの対象になります。
患者さんの体験談や、説明のない治療前後の写真、ほかの医院より優れているとする表現は使えません。
最後にひとつだけ。
ホームページの文章を書く前に、厚生労働省のガイドラインを一度開いてください。
載せられる内容の範囲が分かっていれば、安心して情報を増やしていけます。
Googleマップ側の設定はMEO対策とはに、口コミへの返信は口コミへの対応にまとめています。
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