「紹介で仕事は回っているけれど、紹介だけに頼り続けるのが不安」
「ホームページは名刺代わりに作ったままで、問い合わせが来たことがない」
税理士や行政書士、社会保険労務士、司法書士、弁護士など、士業の事務所を運営している方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
先に結論をお伝えします。
士業のホームページは、相談する前の人が「この人に頼んで大丈夫か」を確かめるための場所です。
士業に相談しようとする人は、何を頼めるのか、いくらかかるのかが分からないまま探していることが少なくありません。
そのため、取扱業務、料金の目安、人柄の3つが伝わるホームページにしておくと、相談につながりやすくなります。
この記事では、士業のホームページに載せたい情報と、取扱業務や料金の見せ方、解説記事の使い方、広告のルールへの配慮を整理しました。
ホームページそのものが必要かどうかで迷っている場合は、ホームページの必要性もあわせてご覧ください。
この記事で分かること
- 士業のホームページの役割
- ホームページに載せたい7つの情報
- 取扱業務と料金の見せ方
- 解説記事の使い方と、広告のルール
- よくある失敗
士業のホームページは、相談する前に比べられる場所
まずは、士業の事務所にとってホームページがどんな役割を持つのかを整理しておきましょう。
相談する人がどんな状態でホームページを見ているのかが分かると、載せる情報が決まってきます。
紹介された人も、連絡の前に検索する
士業の仕事は、顧問先や知人からの紹介で始まることが多い業種です。
けれども、紹介を受けた人が、そのまま電話をかけてくるとは限りません。
連絡する前に事務所の名前で検索して、どんな人なのか、自分の相談に合うのかを確かめる人もいます。
このときにホームページが見つからなかったり、内容が古いままだったりすると、連絡をためらわせてしまいます。
相談する人は、誰に何を頼めるのかが分かっていない
士業に初めて相談する人にとって、資格の名前と仕事の内容は結びついていません。
例えば「相続の手続きは誰に頼めばいいのか」「会社を作るときは何から始めるのか」といった状態で探しています。
そのため、資格の名前や業務の正式な名称だけを並べても、自分の相談が当てはまるのかが伝わりません。
相談する人が使う言葉で、何に困ったときに頼めるのかを書いておきましょう。

形のないサービスだから、人で選ばれる
士業のサービスは、依頼する前に仕上がりを見ることができません。
そのため、相談する人は、担当する人の経歴や考え方、話しやすさを手がかりにして選びます。
顔写真や人柄の伝わる文章があると、同じ資格を持つほかの事務所との違いになります。
料金や実績だけでなく、どんな人が対応するのかまで伝えておくのがおすすめです。
士業のホームページに必要な7つの情報
続いて、士業のホームページに載せておきたい情報をお伝えします。
下記の7つが揃っていると、相談する人は問い合わせの前に知りたいことをひととおり確かめられます。
1. 取扱業務を、困りごとの言葉で
取扱業務は、相談する人が最初に確かめる情報です。
業務の正式な名称だけでなく、どんな困りごとのときに頼めるのかを添えて書いておきます。
例えば、「相続の手続き」のあとに「親が亡くなり、何から手を付ければいいのか分からない方へ」と続ける書き方です。
自分の状況が書いてあると、相談する人は読み進めやすくなります。
2. 料金の目安
士業の料金は、依頼の内容によって変わるため、相談する人には見当がつきません。
料金が分からないまま問い合わせるのは、相談する人にとって負担の大きい行動です。
業務ごとに、よくある金額の目安を書いておきましょう。
金額が変わる条件も添えておくと、自分の場合はいくらくらいかを想像できます。
3. 相談から依頼までの流れ
初めて士業に相談する人は、問い合わせたあとに何が起きるのかが分かっていません。
問い合わせ、初回の相談、見積もり、契約、手続きの開始までの流れを、順に書いておきます。
どの時点から料金がかかるのかも、あわせて書いておきましょう。
相談しただけで料金がかかるのかどうかは、多くの人が気にしている点です。
4. 代表・担当者の紹介
誰が対応してくれるのかは、士業を選ぶときの判断材料になります。
顔写真、資格、経歴に加えて、仕事で心がけていることを一言添えておきましょう。
経歴は長く書くよりも、どんな相談を多く受けてきたのかが分かる書き方がおすすめです。
担当者が複数いる事務所では、誰がどの業務を担当するのかも書いておくと親切です。
5. 対応エリアと、相談の方法
どの地域の相談に対応できるのかを、市や町の名前で書いておきます。
オンラインでの相談や、訪問での相談に対応している場合は、それも書いておいてください。
平日の日中に時間が取れない人もいます。
夜間や土日の相談に対応できる場合は、その条件も載せておくと相談の幅が広がります。
6. 事務所の場所と写真
事務所の住所と、最寄り駅からの道順を書いておきます。
建物の外観や、相談する部屋の写真があると、初めて訪れる人も安心できます。
相談の内容は、人に聞かれたくないものであることが少なくありません。
個室で相談できることが写真で分かると、足を運ぶハードルが下がります。
7. 初回相談の条件と、問い合わせの方法
初回の相談が無料なのか、有料なのかを、はっきり書いておきます。
無料の場合は、時間の目安や、対象になる相談の範囲も添えておきましょう。
問い合わせの方法は、電話だけでなく、フォームやメールも用意しておきます。
職場から電話をかけにくい人でも、文章で相談を始められるようにしておくのがポイントです。
取扱業務の見せ方
ここからは、士業のホームページで最初に見られる取扱業務の見せ方をお伝えします。
できることを全部並べるよりも、誰のどんな相談に強いのかが伝わる形を優先しましょう。
資格の名前ではなく、困りごとから書く
相談する人は、資格の名前では探していません。
「会社設立 手続き」「相続 何から」のように、自分の困りごとを言葉にして検索しています。
そのため、ページの見出しや冒頭には、相談する人が使う言葉を入れておきましょう。
業務の正式な名称は、そのあとに添える形にすると、検索でも見つけてもらいやすくなります。
力を入れる業務を絞って見せる
対応できる業務をすべて同じ大きさで並べると、何が得意な事務所なのかが伝わりません。
相談する人は、自分の相談に詳しい人を探しているためです。
そこで、特に力を入れている業務を2〜3つに絞り、トップページの目立つ場所に置いておきましょう。
ほかの業務は一覧にまとめておけば、対応できる範囲も伝えられます。
個人向けと法人向けを分ける
個人の相談と、会社からの相談では、知りたいことがまったく違います。
同じページに混ざっていると、どちらの人にとっても読みにくいページになりがちです。
入口のところで「個人の方」「法人の方」に分けておくと、自分に関係のある情報だけを読めます。
どちらか一方に力を入れている事務所は、そのことをはっきり書いておきましょう。
業務ごとにページを分ける
主な業務は、1つの業務につき1ページを用意しておくのがおすすめです。
そのページの中で、対象になる人、依頼するとできること、料金の目安、流れまでを完結させましょう。
検索から直接そのページに来た人も、ほかのページを探さずに相談まで進めます。
1ページにまとまっていると、紹介する人が相手に送るときにも使いやすくなります。

料金の書き方
次に、士業のホームページで書きにくい料金について、伝え方を整理します。
金額を言い切れなくても、相談する人が見当をつけられる情報は載せられます。
報酬の目安を、業務ごとに書く
料金は、業務ごとに、よくある金額の幅を書いておきます。
「◯円から」と下限だけを書くと、実際にいくらになるのかが分からず、かえって不安を与えてしまいます。
よくある依頼の例を挙げて、その場合の金額の目安を添えておくのがおすすめです。
具体的な例があると、相談する人は自分の場合と比べやすくなります。
金額が変わる条件を書く
同じ業務でも、条件によって金額が変わることがあります。
その条件を先に書いておくと、見積もりを出したときの驚きを減らせます。
例えば、下記の3つのような条件です。
- 関係する人の数
- 必要な書類の量
- 急ぎの対応が必要かどうか
条件が分かっていれば、相談する人も必要な情報を準備してから問い合わせられます。
見積もりの前に確認したいことを、問い合わせのフォームで聞いておくのも1つの方法です。
実費と報酬を分けて書く
士業の手続きでは、事務所の報酬のほかに、役所に納める手数料や税金などの実費がかかることがあります。
合計の金額だけを伝えると、報酬が高いと誤解されてしまうおそれがあります。
そのため、報酬と実費は分けて書いておきましょう。
どこまでが事務所の報酬なのかが分かると、ほかの事務所とも比べやすくなります。

解説記事の使い方
ここでは、制度や手続きを解説する記事の使い方をお伝えします。
解説記事は、まだ相談するか決めていない人に見つけてもらうための入口になります。
制度の解説は、相談の入口になる
相談する人の多くは、いきなり事務所を探すのではなく、まず制度や手続きについて調べます。
そのときに読んだ解説が分かりやすければ、書いた事務所に相談してみようと考えるきっかけになります。
記事の題材は、実際の相談でよく聞かれる質問から選ぶのがおすすめです。
専門用語は、最初に出てくるところで言い換えを添えておくと、初めての人にも読みやすくなります。
書いた日と、制度の改正に気をつける
制度や手続きは、法律の改正によって変わることがあります。
古い内容のまま残っている記事は、読んだ人に誤った情報を伝えてしまいます。
記事には、書いた日と、最後に見直した日を載せておきましょう。
改正があったときに見直す記事を、あらかじめ一覧にしておくと、更新の漏れを防げます。
解説の最後に、相談への案内を置く
解説を読み終えた人は、自分の場合はどうなるのかを知りたくなっています。
そこで、記事の最後に、関係する業務のページや、相談の方法への案内を置いておきましょう。
案内がないと、読んだ人は満足してそのままページを閉じてしまいます。
解説と業務のページをつないでおくことで、記事が相談につながるようになります。

広告のルールと、守秘義務への配慮
続いて、士業のホームページで気をつけたい、広告のルールと守秘義務についてお伝えします。
ほかの業種と同じ感覚で書くと、問題になる表現が出てくることがあります。
所属する会の決まりを確かめる
士業には、所属する会が広告についての決まりを定めている場合があります。
例えば弁護士には、日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」があります。
決まりの内容は、資格や会によってさまざまです。
ホームページの文章を書く前に、所属する会の決まりを確かめておきましょう。
相談や解決の事例は、特定できない形で書く
解決した事例は、相談する人にとって分かりやすい判断材料になります。
けれども、士業には守秘義務があり、依頼者の情報をそのまま載せることはできません。
事例を載せるときは、依頼者の了承を得たうえで、個人や会社が特定できない形に直します。
地域や業種、金額などの組み合わせから特定されることもあるので、細部をぼかして書いておきましょう。

結果を約束する書き方をしない
手続きや交渉の結果は、相談の内容によって変わります。
そのため、「必ず」「絶対に」のように結果を約束する書き方は避けておくのが安全です。
実績を伝えたいときは、どんな相談を多く受けているのかを、事実として書いておきます。
言い切りを避けた誠実な書き方のほうが、相談する人の信頼にもつながります。
紹介・ポータルサイト・Googleマップとホームページの役割分担
ここでは、ほかの入口とホームページの使い分けを整理します。
役割を分けておくと、それぞれに何を載せればいいのかが決めやすくなります。
紹介は入口、ホームページは裏づけ
紹介は、士業にとって今も大きな入口です。
ホームページは、紹介を受けた人が、紹介した人の言葉を確かめる場所として働きます。
紹介する側にとっても、送れるページがあると勧めやすいものです。
取扱業務や料金のページを整えておくことは、紹介を増やすことにもつながります。
ポータルサイトは比べられる場所、ホームページは詳しく伝える場所
士業を探せるポータルサイトは、複数の事務所を比べたい人が使う場所です。
決まった項目で並べられるため、事務所ごとの違いは伝わりにくくなります。
ポータルサイトで見つけた人が、ホームページで詳しく確かめられるようにしておきましょう。
考え方や人柄、業務ごとの詳しい説明は、ホームページでしか伝えられない情報です。
Googleマップで、事務所の情報をそろえる
「地域名+税理士」「地域名+行政書士」のように検索すると、検索結果に地図と事務所の一覧が表示されます。
ここに出る情報は、Googleビジネスプロフィールに登録した内容です。
住所、電話番号、受付時間をホームページとそろえ、ホームページへのリンクも設定しておきましょう。
設定の基本はMEO対策とはにまとめています。
士業のホームページでよくある失敗
続いて、士業のホームページでよくある失敗をまとめます。
作ったまま見直していない事務所ほど当てはまりやすいので、今のホームページを開きながら確認してみてください。
取扱業務が、名称の一覧だけになっている
業務の正式な名称が並んでいるだけで、説明が書いていないケースです。
相談する人は、自分の困りごとがどの業務にあたるのかを判断できません。
業務ごとに、どんなときに頼めるのかを一言ずつ添えておきましょう。
料金がどこにも書いていない
料金のページに「お問い合わせください」とだけ書いてあるケースです。
金額の見当がつかないと、相談する人は問い合わせる前にほかの事務所を探してしまいます。
よくある業務について、幅のある目安だけでも載せておいてください。
代表の顔が見えない
事務所の概要はあるのに、代表や担当者の写真がないケースです。
形のないサービスでは、誰が対応するのかが分からないと、相談する決め手がありません。
顔写真と、仕事で心がけていることを一言載せておきましょう。
解説記事が古いまま残っている
何年も前に書いた解説が、見直されないまま残っているケースです。
制度が変わっていると、読んだ人に誤った情報を伝え、事務所の信頼も損ねてしまいます。
見直した日を載せ、直せない記事は取り下げることも考えてください。
問い合わせの方法が電話だけになっている
問い合わせの方法が、平日の日中の電話しかないケースです。
仕事をしている人は、その時間に電話をかけられず、相談を先送りにしてしまいます。
フォームやメールなど、時間を選ばない方法も用意しておきましょう。
よくある質問
ここでは、士業のホームページについてよくいただく質問にお答えします。
料金の載せ方や事例の扱いなど、迷いやすい点をまとめました。
Q. 紹介だけで仕事が回っていても、ホームページは必要ですか。
紹介された人が確かめる場所として、用意しておくのがおすすめです。
紹介を受けた人も、連絡する前に事務所の名前で検索することがあります。
そのときに取扱業務や担当者の顔が見られると、安心して連絡してもらえます。
Q. 料金を載せると、価格だけで比べられませんか。
目安が分かるほうが、相談しやすくなります。
料金が分からない事務所は、比べる前に候補から外されてしまうことがあります。
金額の幅と、金額が変わる条件を書いておけば、内容を理解したうえで相談してもらえるのでおすすめです。
Q. 取扱業務は、できることを全部載せたほうがいいですか。
力を入れる業務を目立たせたうえで、ほかは一覧にまとめましょう。
すべてを同じ大きさで並べると、得意な分野が伝わりません。
特に相談を受けたい業務を2〜3つ選び、それぞれに詳しいページを用意しておくのがおすすめです。
Q. 解決した事例は、載せてもいいですか。
依頼者の了承を得て、特定できない形にすれば載せられます。
士業には守秘義務があるので、依頼者の情報をそのまま載せることはできません。
所属する会の広告の決まりもあわせて確かめておきましょう。
Q. 解説記事は、どのくらい書けばいいですか。
数よりも、よく受ける相談に答える記事から書きましょう。
実際の相談でよく聞かれる質問を、1つずつ記事にしていく形がおすすめです。
書いた記事は、制度が変わったときに見直せる数にとどめておくと、古い情報が残りにくくなります。
Q. 顔写真は、載せたほうがいいですか。
載せておくのがおすすめです。
士業は人で選ばれるので、顔が見えることは相談しやすさにつながります。
事務所で相談を受けている様子の写真があると、当日の雰囲気も伝えられます。
まとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
士業のホームページは、相談する前の人が「この人に頼んで大丈夫か」を確かめるための場所です。
紹介を受けた人も、連絡の前に事務所の名前で検索して確かめています。
そのため、まずは下記の7つを揃えることから始めましょう。
- 取扱業務を、困りごとの言葉で
- 料金の目安
- 相談から依頼までの流れ
- 代表・担当者の紹介
- 対応エリアと、相談の方法
- 事務所の場所と写真
- 初回相談の条件と、問い合わせの方法
取扱業務は、資格や業務の名称ではなく、相談する人の困りごとから書いておきます。
料金は幅で示し、金額が変わる条件と、実費との区別を添えておきましょう。
最後にひとつだけ。
ホームページの文章を書く前に、所属する会の広告の決まりを確かめてください。
決まりの範囲が分かっていれば、安心して情報を増やしていけます。
Googleマップ側の設定はMEO対策とはに、制作会社を選ぶときの見方はWeb制作会社の選び方にまとめています。